はじめに
E-2ビザは、米国で事業を始める方、または事業を買収して始めようとする方にとって有望な選択肢となるビザです。
E-2ビザでは、その保有者が米国に居住し、E-2企業(E-2ビザ取得時に申請した企業)で働き、配偶者と未成年の子供を米国に呼び寄せることが許可されます。
E-2ビザには、ビザ保有者の配偶者の就労許可や、基盤となる企業が条件を満たしていれば、ビザを回数に限りなく更新できるなどのメリットがあります。
E-2ビザを取得するためには、米国での事業への投資と、その事業で米国人労働者を雇用する必要があります。
E-2ビザは誰が申請できるのか
E-2ビザを取得するためには、米国が貿易および投資に関する特定の条約または協定を結んでいる国の国民であることが条件となります。この条約国のリストに日本も含まれています。ほかには、ヨーロッパの多くの国、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、中東の国々が含まれています。
最近、イスラエルがE-2条約国のリストに追加されました。国によっては、特定の条件を設けているところもあります。例えば、イギリス人は、イギリス諸島の居住者でなければ資格がありません。条約加盟国のリストは定期的に更新されます。最新の国別リストについては、アメリカ国務省のウェブサイトをご覧ください。
E-2ビザの要件はどんなものか
E-2ビザ申請者は、条約加盟国の国民であるという要件に加え、申請者が経営・管理する実在の事業に対して「相当な」金額を投資しなければなりません。投資額は少額ではない額が求められます。事業は米国人(もしくは永住権保持者)を労働者として雇用しなければなりません。申請者がオーナーではなく、その事業の従業員である場合、その従業員はエグゼクティブ(役員)、スーパーバイザー、または「重要な従業員」である必要があります。また、E-2ビザは一時的な非移民ビザであるため、申請者はビザの有効期間終了時に米国を出国する意向を示さなければなりません。
投資に関連するE-2ビザの要件について
資金源
E-2ビザの場合、投資資金は個人の貯蓄、不動産の売却、贈与、ローン、相続、保険金など、合法的な資金源から得たものなら問題がありません。申請者は、投資した資金を所有し管理していることを証明し資金の出所を証明しなければなりません。
申請者は資金が合法的な手段で得たものであることを示す書類を提出する必要があります。必要な証拠は、資金の出所によって異なります(例えば、個人の貯蓄の合法性を示すために必要な書類は、贈与の場合に必要となる書類とは異なります)。
相当額の投資
「E-2ビザを取得するためにどれくらいの費用が必要なのか」というご質問をよく受けることがあります。
特に今日の経済状況では、特定のビジネスの立ち上げコストが比較的低い場合もあり、相当額の投資要件は理解しにくいものです。
E-2ビザの目的上「相当」とみなされる最低金額は設定されていませんが、1)出資者の財政的なコミットメントがわかる2)出資先の企業が問題なく運営するのに十分
上記を満たすことで、投資金額は適切とみなされる傾向があります。
この判定を行うために、政府は「比例テスト」と呼ばれるものを使用します。このテストでは、投資された資金と、既存ビジネスのコストを比較します。またはE-2企業がスタートアップである場合は、そのようなビジネスの立ち上げに関連するコストの見積もりを比較します。出資者が、事業の運営を成功させるために十分な資金を投資した場合(つまり、事業の開設と運営に必要な全ての設備、在庫、オフィススペース、その他の資産を購入した場合)その投資は通常、法律に基づき相当なものとみなされます。
E-2の投資額が相当なものであることを証明するためには、ビジネスの設立と立ち上げにかかった費用の100%(または100%に近い額)を投資したことを示す書類を提示する必要があります。設立されたビジネスの場合、そのコストは、その公正な市場購入価格によって決定されます。投資支出を証明するために、通常、売買契約書のコピーと支払証明書を提出することになります。事業がスタートアップの場合は、その種の事業の立ち上げに通常必要となりそうな費用の説明を提出することができます。その際は、事業立ち上げにかかる費用を説明した業界紙の記事、事業体がこの種の事業に通常必要な資金をすべて支出したことを説明した公認会計士(「CPA」)からのレター、類似のビジネスを開始するために必要なコストを示す市場調査報告書、またはその他 の関連する証拠などを含めることができます。
投資される資金は、”アット・リスク”であることが必要
E-2ビザの要件の一つは、ビザが承認される前に、資金がコミットされ「アットリスク」でなければならないということです。アット・リスクとは、投資した資産がすべて損失リスクのある資産であること、言い換えれば、出資者が実際に何か失うものを抱えていなければならないことを意味します。通常、これは資金が費やされ、投資家がそれを取り戻すことができないことを意味します。アット・リスク投資とは、リースなど、取り消し不能の契約も含まれます。
アットリスクの金額には、クレジットカードの債務やその他のローンが含まれますが、これらの債務が個人資産によって担保されているか、無担保である限り、事業資産によって担保されていたり、有限責任事業体の名義であったりすることはできません。銀行口座にある未使用の資金は、投資家が希望する時に銀行口座から引き出すことができるため、アットリスクとはみなされません。
潜在的な支出
E-2ビザの一般的な費用としては、以下のようなものがあります。
- ウェブサイトの開設とホスティング
- パソコン、タブレット、iPad
- プリンタ/スキャナ
- 在庫
- 家具
- 商標
- 知的財産の購入または開発
- 従業員への給与支払い、または独立した請負業者への支払い
- 弁護士費用
- リース料または家賃(前払いの月の家賃を含め、実際に支払ったもののみ含めることができます。)
- 法人設立費用
- 事務用品
- 電話代
- 光熱費
- 研修・教育(制限あり)
- ライセンス料
- スポンサーシップまたは展示会への出展
- 不動産(土地建物)の購入
- 自動車やトラックで、専ら業務に使用する場合(例:フードデリバリー業、タクシー業)。また、商用車として登録することも有効です。
- ソフトウェア
- 広告宣伝
なお、E-2の経費は米国内で使ったものである必要はありません。領収書さえあれば、過去に(事業を始める前でも)購入したものでもかまいません。